ひんやりとした暮らし

2018年4月出産しました。

【出産話じゃない】母と変質者

‪変質者に初めて遭ったのは中一になる春休みだった。

お昼間、私は大通りでないものの、普通に人や車が通る道を歩いていた。
そこに黒い車が並走してきたと思ったら、進路を塞ぐように斜めに止まる。中にはおじさんが一人乗っていた。(今思うともしかしたら一人じゃなかったのかもしれないけど。)
おじさんはぼそぼそどこに行くのか、というようなことを話しかけてきた。イントネーションという言葉は当時知らなかったけど、東北のそれではなかった気がする。
別にどこも行かないですと答えると、おじさんは一緒にどこかいかないか、と言った。
これは変質者というものだと12歳の私は判断し、いやいいですと向きを変え車と逆方向に早歩きで逃げた。もし走ったら相手の気持ちを逆なでさせるかも、と考えたことを覚えている。
車は追いかけて来ず、家には普通に着くことができた。

自宅には母がいた。
初めて変質者に遭ったもののうまく逃げることができた・思ったより大したこと無かったという安堵と、ずっとお笑いキャラだったこともあり、ネタ的な感じで「こんな目に遭ったよ。本当に変な人っているんだね~」と軽く報告した。
やだー、あなた気を付けなさいよ!という反応で終わると予想していたが、母は怖い顔で私の話を聞き、110番した。家に婦人警官が来て、私は事情聴取を受けた。
トロールを強化しますという返答を受けたものの、その後特に怪しいやつが捕まったという噂は聞いていない。

警察を呼ぶ前、それはさすがに大げさじゃない?無事に逃げれたよ、そこまで嫌なこともされなかった、と私は母を止めた。でももし車に無理やり乗せられたりしたら、殺されて山とかに捨てられたかもしれないんだよ、と彼女は真剣に答えた。


大人になった今、母の対応は素晴らしかったと思う。あの出来事が無かったら、ぼんくらの私の性被害やジェンダーに対する考えは、もっと遅れたものになっていたとすら感じる。

母は隙があったとか、ボーッと歩いてるからだとか、私に落ち度があるということを一切言わなかった。黙って最後まで話を聞き、警察を呼んでくれた。私の遭遇したことは、大人(母)が警察の人に言うほど、更に警察の人が直接話を聞きに来てくれるほど、重要な事態だったと理解した。
ましてや私が悪いなんて、本当に全く、感じさせなかった。



時間は飛ぶが、大学生時代Aという友人に、「小さい時変な人にいたずらされ、お母さんに言ったら、あなたも悪いんでしょと言われて悲しかった」という話をされた。確かパルコのエスカレーターに乗ってる時だ。
私はまず自分の母を思い出し、彼女にとっさに何と言っていいのか分からず、少し間を空けてしまったが、なんとか「Aが悪いんじゃないよ」と答えた。普段デカい声で無駄話ばかりしてたのに、この時だけとてもか細い声になってしまったのを覚えている。
そして私が何回あなたが悪いんじゃないと20歳前後のAに言っても、彼女が小さい頃から引きずってる悲しさは消えないだろうな、とも思った。


今、実家に厄介になり新生児の世話をしている。慣れない子育ての上、母が絶え間なく話しかけてくるのでたまに疲れ果ててしまうが、上のようなことを思い出して文句言わないようにしよう…と思う。実家にどっぷりお世話になれるだけでもありがたいし。
(どうでもいいけど実家に厄介ってなんかラップみたい)
(実家に厄介 アタシ疲労困憊 ばあちゃん満身創痍 だけど新生児かわいい♩♪)
(これ書かなきゃよかったかな?と思うけどせっかくなので残しておきますピースピース!!)



無理に時事ネタに結びつけるようで自分で気持ち悪いのだが、TOKIO某メンバーの被害に遭った女子高生が、これ以上傷付けられないことを祈っている。他メンバー・事務所や福島県民の対応に関心が移っている、という指摘があるが、むしろどんどんズレまくって皆が女子高生のことを忘れるくらいが良いのでは? どうせ彼女のことを守り続けられるのは・救えるのは、家族とかリアルな周りの人のほんのひと握りなんだから、下手にガヤガヤ騒ぐものじゃないと思うので。